蔵屋敷あづまさ
2012年 07月 26日
喜多方の街を歩いていたら、
たまたま見つけた、漆の資料館の看板。
ふらっと入る。
展示物やショップを軽く見せてもらい、
帰りかけたところ、
目にはいった火棚が漆塗りだったから大変。
よくよく見れば、玄関の床は竹を打ってあるし、
只者ではなさそうな畳が敷いてある。
食堂でなにも注文しないくせに
床や畳や火棚を、眺めたり撫でたりしていたら、
おじさんがニコニコしながら寄ってきた。
素材や見えない部分の構造まで、教えてくれる。
喜ぶと、もっと教えてくれる。
もっと喜ぶと、通常は立ち入り禁止エリアへ案内してくれる。
おじさんの自慢の、7間半もある立派な梁。
小宴会用の座敷になっているようなので、
こづゆやにしん山椒漬けなど
会津の伝統的な料理といったものを食べられるのかを訊ねると、
笑いながら、ここは高い、と他人事みたいに言う。
薄暗がりのなかで、
高級そうな畳に正座して、長いこと話を聞かせてもらう。
そうして、お礼を言って出ようとすると、
このさきのどこそこの梁を見るといいよ、と教えてくれる。
それでは行ってみます、と返事をして、いよいよ庭を出るまで、
おじさん、わざわざ見送ってくれる。
ここでやっと、この建物がなにか、分った。
福島県でいちばんの大米穀商だった松崎家の住まいと蔵。
とすると、おじさんは、現在の当主!?
雇われた店主や館長ではなかったのか。考えが及ばなかった。
失礼なことを、わたしは言わなかっただろうか。
言わなかったとは思うけど、
今度また会うことがあったら、もっと丁寧にお礼を述べよう。
土が踏み固まった細い路は、夏の日ざかりで、白く見えていた。
後ろから自転車の音。
よけながら振り返ると、おじさんだった。
どこそこへは突きあたったら右ね、と穏やかに言う。
結局、おじさんは、黙って、
突きあたりのまん前まで、ゆるゆると自転車を漕いでくれた。
そしてまた、右ね、と微笑む。
はい、右ですね、もう大丈夫です
と言うと、おじさんは静かに左へ自転車を向けた。
おじさんの後姿に、直角くらいのおじぎをして、
からだを起こすと
もう、おじさんも自転車も、見えなくなっていた。
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masayankinuyo at 2012-07-27 17:33
喜多方の街・・・バイクで抜けてしまって見て廻れなかったのが
今、思うと残念です。
街並み蔵屋敷とかあっていいですよね~><
やっぱりゆっくり見て廻りたかったです(ρ_;)
今度是非!
今、思うと残念です。
街並み蔵屋敷とかあっていいですよね~><
やっぱりゆっくり見て廻りたかったです(ρ_;)
今度是非!
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ekoekolove at 2012-07-27 17:50
これを読んで、草子さんって案内されるひとだな
と思ったんだけど
そう書こうと思ったら↑のが更新されてて
びっくりしたけど納得した。
草子さんが歩けば人間家宝に当たるんだな。
それも道理だよね、おばあちゃまの話を考えると
血なんじゃないかと。
ちょっと前に書きこんだやつ
方丈記へのオマージュだと思い込んでたんだけど
違ってたらごめーん。
一節目しか一緒じゃないじゃんねorz
と思ったんだけど
そう書こうと思ったら↑のが更新されてて
びっくりしたけど納得した。
草子さんが歩けば人間家宝に当たるんだな。
それも道理だよね、おばあちゃまの話を考えると
血なんじゃないかと。
ちょっと前に書きこんだやつ
方丈記へのオマージュだと思い込んでたんだけど
違ってたらごめーん。
一節目しか一緒じゃないじゃんねorz
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green-field-souko at 2012-07-29 21:54
■hidekinuさま そうそう、ツーリングのライダーさんたちも多かったよ。
喜多方には、まだまだ、古道具がしまわれていますね。
よいものはたしかにそれ相当のお値段だけれども、わたしのように
チープに古道具を楽しみたいひとには、掘り出し物が多いかも。
はい。今度、ぜひ!^^
喜多方には、まだまだ、古道具がしまわれていますね。
よいものはたしかにそれ相当のお値段だけれども、わたしのように
チープに古道具を楽しみたいひとには、掘り出し物が多いかも。
はい。今度、ぜひ!^^
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green-field-souko at 2012-07-29 22:04
■あやちんさま 案内されるひと、かあ。うん、そうなのかもね。
だとしたら、ありがたいよねえ。思わず知らずのうちに、
だれかになにかをやっていただけるんだから、不思議な気もするし。
ごめん。方丈記って、よく知らないんだ...orz
検索してみたw
「ゆく川の流れは絶えることがなく、しかもその水は前に見たもとの水ではない」
とあって。これって、ジュール・ルナールと同じこと言ってるじゃ~ん。と。
ルナールが後発だけどさw ルナールは方丈記を知っていたのかな?
だとしたら、ありがたいよねえ。思わず知らずのうちに、
だれかになにかをやっていただけるんだから、不思議な気もするし。
ごめん。方丈記って、よく知らないんだ...orz
検索してみたw
「ゆく川の流れは絶えることがなく、しかもその水は前に見たもとの水ではない」
とあって。これって、ジュール・ルナールと同じこと言ってるじゃ~ん。と。
ルナールが後発だけどさw ルナールは方丈記を知っていたのかな?
by green-field-souko
| 2012-07-26 23:14
| 旅と隠遁
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Comments(4)