ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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櫓のきしみの向こうに海が見えた日



とうに消えてしまった木造の櫓船。

遺された櫓を、懐かしい、と言って漕いでくれた。

ゆうるり、ゆうるり、櫓がくうをかく。
ぎいぎい、きしむ音。規則正しく、きしむ音。


陸へあがって数年が経つ漁師さんは、
確かめるように、黙って、長いこと、櫓を操る。
櫓のきしみの向こうに海が見えた日_c0145183_6534659.jpg



櫓の向こうで、波音がするようだ。
潮の匂いだって嗅げるもの、
ざふざふと海原に漕ぎだした船の上にいるみたい。

ムービーで記録できないものか、と思いながら、
ゆらり、ゆらり、気持ちが揺れてしまった。

Commented by lucille5794 at 2013-01-15 18:04
懐かしいですね。船の櫓、
私も実は漕げるのです。小学生の頃祖父に教えられました。
それに8の字を書くように漕ぐ櫂も得意です。
今は漕げる人少なくなったんだろうな。
Commented by rollingwest at 2013-01-16 07:15
数ヶ月前に漁村の道端で語らう漁師仲間のスナップが印象的でした。
Commented at 2013-01-16 11:12
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by amelia at 2013-01-16 22:06 x
遠い海原へ出向いたことはないですが、その果てない海の彼方が一瞬見えたようでした。
気持ち、入ります。このようなお写真と文面から。涙がでそうです。
Commented by green-field-souko at 2013-01-17 09:04
■Coolmasterさま 漕げるとは、すごいです! 無形民俗文化財並みかも。
櫓や櫂を操れるのは、寺泊ではこの漁師さん世代が最後ですね。
手漕ぎから動力へシフトする最初は、農機具用の水冷式発動機を
そこいらへんから持ってきて、木造船に取りつけたのだとか。
この漁師さんも、海のことは、おじいさんから教わったそうです。
Commented by green-field-souko at 2013-01-17 09:13
■RWさま もしかして「おじいちゃんたちのStand by me」でしょうか。
じつはあれ、奥にいる数人は、われわれ調査スタッフなんです。
顔バレしない写真を載せました。建物は船小屋です。
調査の続きができるとよいのですが、それも予算がついてのことなので、
どうなりますことやら。生活苦です(笑)
Commented by green-field-souko at 2013-01-17 09:16
■2013-01-16 11:12の鍵コメさま
ありがとうございます。
実際、話を聞かせてもらっていると、なごんだり笑ったりした後で、
ふっと、せつなさがこみあげてくるときがあります。
庶民一人ひとりの人生ドラマは、ほんっと、すばらしいです。
Commented by green-field-souko at 2013-01-17 09:25
■ameliaさま ありがとうございます。
すこしでも、なにかが伝わったのなら、嬉しいです。

数年間、こつこつと続けてきた当ブログも、転換期なのかもしれません。
このままだらだら続けているよりも、思いきって削除しようかと思ってみたり、
こんなゴミなんてと思いつつ、せこい想いに引きずられて
寸でのところで削除するのを踏みとどまったり、往生際わるいです(笑)
Commented by rollingwest at 2013-01-17 22:59
そうそう、「おじいちゃんたちのStand by me」です。そうでしたか、裏話の真実を聞いてしまった。(笑)
Commented by green-field-souko at 2013-01-18 21:08
■RWさま のこしたいもの、たくさん、あります。
ここ10年で消えてしまうものが、たくさん、あると思います。
それだけを切り取れば、かなりのことはできそうですけども、いかんせん
生活していかねばならないので、ボランティアもできないですしねえ。
てか、これまでの自分の経験やノウハウを、こういったところに使いたいんです。
だれか、草子を活かしてください。働きまっせー!^^
Commented by オドサマ at 2013-01-30 22:27 x
櫓の扱い、出来そうな気がするけれど、多分やってみると出来ないんでしょうね。佐渡のたらい舟、いつか初体験で鮮やかに漕ぎこなしてみたいと妄想しているのですが、多分ダメでしょう(笑)
草子さんのブログは素敵です。感受性の冴えや秀逸な文章にいつも感心させられています。削除などと言わず、ぜひ続けて頂きたいものと一ファンが心から申しております。
Commented by green-field-souko at 2013-02-04 10:09
■オドサマさま お返事が遅くなって、ごめんなさい。
見ていると簡単そうなんですが、やはり、コツが要るのでしょうね。
佐渡のたらい船は、うまく漕げないとその場でぐるぐる回るそうですね。
しらべものに佐渡へ行かなくちゃ、なのですが、勉強は当然自腹なので、
これが、なかなか…(苦笑)

オドサマ、ほめすぎですよお。照れるではありませんか。
でも励みになります。ありがとうございます。
なにかモチベーションを上げられることを考えてみます。
by green-field-souko | 2013-01-14 06:55 | 日々の照り降り | Comments(12)