廃屋の辛夷(こぶし)
2016年 04月 03日
商業区域に、のこされた
崩れそうな家。
ビルのすき間に、置き去られたような家の庭で、
辛夷が白く揺れていた。
陽が落ちて、
春のこととて、歓送迎会でにぎわう通りの一角で、
辛夷を気にとめるひとも居ない。
あまりにも勉強をしないと身内で評判の姪に、先日、えらそうに、言ってあげた。
「勉強するより楽しいことは、目の前にたくさんあるだろうけど」
「もし、あなたが、このさきやりたいことが出てきたとして、
怠学していたがためにスタートラインに立つ資格さえ持てないとしたら、
あなたは一生、悔やむことになるかもしれない」
「勉強するということは、将来、飛び立つあなたの翼を鍛えるものであるからして、
いずれ自由になるまで(だといいね)の、今しばらくの辛抱と心得なさい」
うるさくない伯母ちゃんが、めずらしくうるさく言ったのがすこしは響くように、
「勉強しないと伯母ちゃんみたいになるよッ!」と追加で教えてやるも、
えへらえへらしながら鼻をほじっていたのには、叔母ちゃん、驚いた。
こいつ、マジだめかもしれないな。。。
by green-field-souko
| 2016-04-03 10:52
| 日々の照り降り