ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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おにぎりと蜜柑と新聞紙




一周忌がすぎたひとのことを思い出していたせいか、
昼間のうたたねに、あらわれた。

「これからそっちへ寄らせてもらいます」
急を詫びながらも、ぜったいに立ち寄る気合いだった。
わたしの住まいは古く、部屋は紙ごみでちらかっていて、
ひどく人見知りの猫がいることを伝えたが、ちっとも構わないとおっしゃる。

それならと、なにもなかったので、
じゃこじゃことお米を研ぎ、炊きたてのごはんで、おにぎりをこしらえた。
冷蔵庫をさがしたら蜜柑が冷えていた。

妙なもてなしだが、夢のなかでは、これでよし!と思った。

「ようやく会えましたね」
「いや、構わんでください。すぐに失礼します」
どれほど急いでいるのか、それとも遠慮なのか、来るなり帰ることを言う。
生真面目で頑固で、明治生まれのようなひとの傍らで、
夫人だろうか、小柄な女性が静かに微笑んでいた。

コクラに帰るとおっしゃるので、
それならと(コクラというのは小倉のことだろうかと思いながら)
おにぎりをラップに包み、さらに蜜柑といっしょに新聞紙でくるんだ。

手渡すと、帽子をとって嬉しそうに、受け取ってくださった。
「これこれ、こういうもんが、ほしかったです」

新潟空港から小倉へは直行便は出ていないはずですが。
それとも、東京まで新幹線で出て、乗り継がれますか。
新潟にホテルをおとりしましょうか。
よろしければ街をご案内します。なにかおいしいものでも。
いろいろ引き止めるようなことを、わたしは言ったけれど、
かき消えるように、二人とも、いなくなってしまった。



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Commented by myurinm at 2016-05-19 13:57
こんにちは☆
私も似たような夢を見ました。私はよく知っている人でしたが。
引き止めても、居なくなってしまわれたのは良かったのではないかと。
そんな気がしてなりません。
Commented by green-field-souko at 2016-05-20 05:22
■みゅリンさま こんにちは♪
似たような夢を、ごらんになったのですか。
なんだか夢の中で夢を見ているような、妙な感覚の夢でした。
黒沢監督の「夢」みたいな色彩だったような。

そうですね。行くべきところへ行かれたのだろうと、わたしも思いました。
お墓が小倉にあるのかどうか、わかりませんけど。
by green-field-souko | 2016-05-14 18:13 | 日々の照り降り | Comments(2)