ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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もうすぐ居なくなるであろうひとのお見舞い

 死んでいるように眠っていたかと思えば、ガバッと起き上がり、ポカンとした顔で周りを見回し、苦しい苦しいとうめきながら、またパタリと横になるのもつかの間、痛さに眼を覚まさずにいられず、身をよじらせて起き上がる。

 こんなに苦しまなければならないほど、伯母は罪深いひとではなかろうに、と思う。
 モルヒネを上限なしで使っても追いつかない。ナースコールしても、なかなか来てくれないのは、来たところで背中やお腹をさすってくれるしかできないから。

 連れてった6歳の姪は、病室の壁のくぼみに身を寄せて、不安そうな顔をしている。生後10ケ月の甥は、火がついたように泣く。子どもは、死の匂いを、すでに嗅いだのかもしれない。

 付き添っていた従姉に挨拶して帰ろうとしたら、「あら、まあ、来てくれたの!」と背中で弾む声がした。伯母が起き上がって、嬉しそうにこちらを見ている。一瞬だけ正気が戻り、なにかの拍子に痛みから解放されたのか。おばちゃん、わたしのこと、わかるの!?とドアから駆け戻ったら、瞬きする間に、また臥していた。

 高度医療とやらが言われていたって、ひと一人の痛みすら、どうにもできないなんて。そんなのは、わるいけど、ちっとも役に立っていない。信用ならない。
Commented by konnakanjiyakedo at 2008-05-18 09:03
おはようございます。病気のことに触れると、健康でいられることが、どれほど素晴らしいことかわかります。一日一日、大切に、親切に、使わなければと思います。痛みがどうか和らぎますように。祈ることしかできないです。リンクさせてください。お願いします。不都合あれば教えてください。
Commented by green-field-souko at 2008-05-18 09:51
■konnakanjiyakedoさま 健康でいられるありがたさと同時に、からだでもこころでも、
自分でもうダメだと思ったら、みずから幕引きできる選択肢も思ってしまいます。
伯母のために祈っていただき、ありがとうございます。
リンクもありがとうございます。不都合などありません。どうぞ、よろしく(草子)
Commented by seechan2525 at 2008-05-18 10:35
伯母さまの状況を見て(聞いて?)今年7回忌を迎える、オヤジのお母さん(姑)の最期を思い出しました。全く同じでした。
とにかく痛みだけでも取ってあげたい・・・そう思っていても、看護の経験も勿論介護の経験も、病気に関する知識も持たないダメな嫁は、ただおろおろと背中をさするだけでした。寒さに震えるお腹に掛けてあげる、タオルケットにすら、「重くて苦しい」と言い続けて痛みと戦っていました。
本当に少しでも痛みから解放してあげたい・・・近くにいる人達の、切実な願いですね。
Commented by yurikak5 at 2008-05-18 16:03
末期癌で医師に見放された人でも、鍼で楽になる人がいます。
全身癌であと一か月だと言われても、半年以上たっても元気にしている人も知っています。人の命を、勝手に決めるなよ!と思います。
痛み止めを使えば使うほど、切れた時の痛みは倍増し、断末魔の苦しみとなります。それが現代医療です。
ただし、鍼は腕のいい先生がそばにいないとどうしようもありません。
私はそういった先生になるため、そういった先生を一人でも多く育てるため、日々頑張っています。(ヨモギ)
Commented by green-field-souko at 2008-05-18 17:07
■シーさま そうですか。お辛い体験でしたね。わたしなんかは見舞うだけです
けども、交代で24時間付き添う家族の気持ちは、いかばかりかと思います。
これが自分の家族だったら…自分だったら… いろんなことを考えさせられます。
生き方と同じように、死に方も、主体的に選べるといいなあ、とか(草子)
Commented by green-field-souko at 2008-05-18 17:15
■ヨモギさま ありがとうございます。ヨモギさんのブログを拝読して、
東洋医学の考え方など、いろんなことが、自然と腑に落ちました。
わたしはアメリカ型の仕事にボロボロになり、野菜に象徴される日本的な
暮らし方、生き方を、無意識のうちに求めてしまったのかもしれません。

気づかせてくださって、ありがとうございます。
もっとヨモギさんのお仕事の世界を知りたくなりました(草子)
by green-field-souko | 2008-05-18 08:30 | 日々の照り降り | Comments(6)