ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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近所の100円野菜事情など

実家の近所、元同級生のお母さんが、体調をくずして100円野菜への出荷をやめた。
「もう疲れたし、わたしなんかじゃ、とてもついていけないわ」

よその100円野菜は、どんなものかわからないが、この地に幾つもあるうちの一つ、とある100円野菜の体験談(というか愚痴?)をたまたま聞かされた。

地元産直野菜の販売所がはじまった当初は、近隣の農家が自家消費してなお余るものや、決められた基準の問題で、正規ルートで出荷できないものを持ち寄り、B級品ではあるけれど、新鮮でおいしいから100円(程度)でいかがですか。という考え方だったように記憶しているのだが、昨今はそうではないという。

ちょっとしたブームで客がふえ、週末に押し寄せるまとめ買いの車に対応するため、しだいに、ある程度の量をそろえなければならなくなった。けど、はなから、小さな村でそんなに量を生産できるわけはない。品切れをさせては客に申し訳ないこともあろうし、並べればとぶように売れるので、よそから仕入れてまで並べる。山菜や山野草、昆虫など、売れそうなものはなんでもとってきて並べる。売れる。

ささやかだったはずの市場は拡大していく。だれもかれもが小遣い稼ぎに没頭し、生産販売の管理が甘くなる。いまはまだそうでもないらしいが、そのさきにあるのは、おそらく、疲弊と劣化だろう。


出品者のなかで仕切るひとが出てくる。派閥や組織内グループから、ちょいと気の利いたタイプが頭角を現わし、とりまきが現れ、いつのまにかそのひとが実質的なリーダーにおさまる。組織には、もちろんリーダーは必要だろうが、ところがそれがリーダーにふさわしい資質の人物かどうかは、またべつの話らしい。

「うちで食べる分をへつってでも出荷しなさい」
「もっと、お客に勧めなさい」
「そんなことでは稼げないよ」
なんてことを言われ続け、売れ残った野菜(引き取って自分ちで食べるつもりのもの)をゴミのように足で蹴られ、元同級生のお母さんはストレスで心が傷んでしまったそうである。

「わたしね、もう、野菜を売りたくない。ほしいひとにはタダであげる。それで大事に食べてもらったほうがいいわ」と、畑で立ち話をしながら言っていた。なんだか急にふけたような。いまも病院に通っているそうだ。



かーちゃん、やれやれという顔で、わたしに言う。
「このへんの100円野菜で売ろうと思ったら、たいへんな気構えでないと、いけないんだねえ」
かーちゃん、わたしには無理だよ、と言ったら、
「お母さん(自分のこと)も、ぜーーーったい無理」と、ぜーーーったいに力を込めて言った。

いいよ、かーちゃん。そんなら、いつかふたりで、ふりうりをしよう。
いまは、野菜をつくる、楽しいことのほうを、考えよう。

Commented by mamaten at 2009-03-30 01:27
何も無理してまで続けなくっても、と思うのは、部外者だからでしょうか。
人間、無理はいけません、続きません。息切れします。

期待に応えるばかりが良いとは思わない、50過ぎた者の開き直り^^です。
自分なりに、で良いと思いますけど・・・・・誰も責めませんよ~、購入者は。
Commented by green-field-souko at 2009-03-30 02:03
■mamatenさま まずは長文を読んでいただいて、ありがとうございます。
こんなくそおもしろくないエントリは、誰も読んでくれまいと思いつつ、UPしたのでした。

>>期待に応えるばかりが良いとは思わない、
このエントリから離れますけど、わたし、そういう半生だったと思います。
いまも周囲は許してくれなくて。坂を転げ落ちようと、なお期待されるのは
ほんとうにしんどいです。でもまあなんとか。これも運命なのでしょうね。
Commented by bun122 at 2009-03-30 20:31
ちょっとびっくりな話ですね。
私の母もそうですけど、今は野菜を作る事が生きがいのような感じで
種まき~収穫が楽しみでもあるから続けられるのに、そんなに辛い
事になってしまったら、体調も崩しますよね。
同級生のお母様の体調が早く良くなるように、お祈りします。

Commented by green-field-souko at 2009-03-31 07:26
■ぶんさま 100円野菜がどこもこうじゃないと思いますが、ここは、こうなんですね。
「つくる」ことと「売る」ことは違うんでしょうけど、気の優しい「つくる」ひとには
さぞかし辛い環境だったろうと思います。どうも、ありがとう。
ぶんさんのお母さまも、そろそろ畑ですか? ズッキーニ、うちも蒔きます。
Commented by veronica-t at 2010-02-06 11:46
少し時間ができたので、草子さんの今までのブログを少しだけ読んでます。

おととし、ある講座で産直市のことを学びました。
実際に何件かのお店を見てまわり、複雑な思いを感じました。
怒りにもにたものです。
でも、これが現実なんだと思い知らされました。

うちの師匠も、草子さんの師匠さんと同じ、自分には今の野良仕事で精一杯。今を変えることはしません。
でもね、弟子は思うんです。
野菜のクズとして扱われるものが、本当は美味しいことを・・
気づいてくれる人は居るはず。
その一握りの人に食べてもらえるよう、自分の身の丈でしてみようって。
実際、想いより現実はかなり厳しいけどね・・。(笑)
Commented by green-field-souko at 2010-02-07 12:40
■veronicaさま 読んでくださったのですか!?
嬉しい!嬉しい! どうも、ありがとうございます。

楽しみとリサーチを兼ねて、わたしも時々、産直市場をのぞくようにしています。
やはり、いろいろ思うところはありますが、可能性を見るようにしています^^

そうそう。そうなんです。師匠同士、似ているでしょうかね。
こちらの弟子も身の丈で考えています。やっぱりミニマムでしょ、って^^
本業と畑を半々くらいでやれたら理想的なのですが、どうなりますことやら。
うん、一握りでよいのです。お互いきちんと付き合えるような一握り。
ぼちぼち、がんばりましょ。
veronicaさんと、もっとお話できたらいいなあ^^ どうぞ、よろしく。
Commented by veronica-t at 2010-02-07 21:51
このコメントに気づいてくれて、ありがとうございます。
正直なところ、今の暮らしは可能性もいっぱい、不安もいっぱい・・(笑)
ま、自分次第ってところでしょうか。(笑)

>veronicaさんと、もっとお話できたらいいなあ^^ どうぞ、よろしく。
嬉しいな! 
そうそう、ぼちぼち、がんばりましょ! ありがとう・・!
Commented by green-field-souko at 2010-02-09 05:06
■veronicaさま いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。
後発組のわたしは、これから不安になるのかもしれませんが、
稼いでも稼いでもシアワセ感が薄かったころを、いましめを含め、
忘れないようにしたいと思っています。
野菜と米があるから餓死はしないだろう、とお気楽に^^
by green-field-souko | 2009-03-29 16:55 | 畑でわたしは考える | Comments(8)