ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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ぬくもり栃尾展、始まっています。



手前味噌で、恐縮です。
新聞各社さま、フリーペーパーさま、などが取材してくださったおかげか、
問い合わせ件数や来場くださる方が、じわじわ、増えているそうです。

せっかくなので、紹介の記事を上げてみることにしました。

展示最終日は、3月31日です。
「ぬくもり栃尾展」
愛と想いを込めて、プランニング&プロデュースしました。
博物館での展示ですが、ちっとも堅苦しくありません。
あたたかさ、楽しさを、ほっこり感じていただければ、嬉しいです。

お近くの方は、ぜひ、お立ち寄りくださいませ。





長岡市立科学博物館。
曲がって薄暗く長い廊下は、いかにも昭和な博物館の雰囲気で、
わたしはけっこう好きなのだけれど、
その廊下に面した3つの展示ケースが「ぬくもり栃尾展」に与えられた空間。
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貴金属や紙幣や証文などは、ふつうは金庫に入れる。
そして、そういうのとは違う類の大切なものは、きっと、手箱に仕舞われただろう。

だから、展示ケースを、硝子の手箱になぞらえた。
こぼれて散らばっているモノや想いを拾い、そっと、手箱に入れてあげたいと思った。






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[壱ノ手箱(いちのてばこ)]
織る・着る 栃尾紬
「栃尾紬」は江戸時代の寛政年間(1789‐1801)頃に、養蚕が盛んだった栃尾郷の家内工業として興りました。出荷の選別ではじかれる繭玉は、ほぐされて真綿となり、その真綿で紡がれた糸で「栃尾紬」は織られてきました。明治末期になると工場生産へと移り、反物のほとんどは東京・大阪・京都などへ買い付けられていきました。1つめの手箱は、「栃尾紬」にまつわる物語です。

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好きな色の糸を2種類選び、織りからあつらえた紬。
この柄を織れる織り手は一人しかおらず、仕立てあがるまで3年を要した。

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入札(いりふだ)は、いわゆる、商店などのポスターやチラシや暦。

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江戸時代の織り見本帳。
買付商人がこれを示し、織りの指示などに使った。

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玉繭(繭として出荷できない品質の繭)をほぐすと真綿になる。
真綿を紡いだ糸で、紬は織られた。
真綿はワタといってもコットンではなくシルク。
繭、真綿、綿の実にふれて、感触の違いをどうぞ。





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[弐ノ手箱(にのてばこ)]
着物に願いを 婚礼衣裳と男児祝着
「末永く幸せでありますように」嫁ぐ娘のため、精一杯の支度に努める父親がいました。「病気をせず元気に育ちますように」生まれてきた子のため、ひと針、ひと針に心を込める母親や祖母がいました。2つめの手箱は、戦前の頃の祝言や子どものお祝いなど、ハレの日を見守った着物に託された物語です。

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養蚕とはた織りで潤った時代、とても裕福な家が、このあたりに何軒かあった。
戦前に着られた白無垢も、そんな家の品物。

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凝った細工のかんざしも美しい。

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昭和19年の婚礼の献立。祝儀の記録もある。

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昭和のはじめ頃まであった、背守りの風習。

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お針のじょうずなひとに、縫ってもらったさまざまな模様の背守り。
お手にとって、どうぞ。





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[参ノ手箱(さんのてばこ)]
着物と香り
仏教伝来と共に日本へ伝わった〝香り〟は、江戸時代には公家や大名の特権階級だけでなく、武家社会や遊興の世界でも日常的なものになっていきました。身分を問わず、女性たちは着物や髪にお香をたきしめ、身だしなみの一つとしました。河井継之助は「沈香も焚け、屁もこけ」と、香りにちなんだ名言を残しています。3つめの手箱は、香りをまとった着物の物語です。

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正絹の襦袢は、間に真綿をまわした、贅沢な仕立て。
いつの時代、どんなひとが着たものか分からないが、
源氏香の柄の着物をふわりと羽織る着こなしが、江戸末期に流行した記録がある。

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沈香についての覚書。
猿彫杉風作?は、沈香につけられた銘か、ブレンダーの名前か。

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沈香をたきしめた古布の紅絹。
ふたを開けて、香りの体験を、どうぞ。




「ぬくもり栃尾展」は、来年3月31日まで開催。










本業の依頼のほとんどを断って、この2年間、民俗の仕事に関わらせてもらった。

そうしたなかで、民俗資料から見えてきたものは、庶民の日常生活から生まれる〝ドラマ〟だった。
流れるように時間が経ち、人は彼方へ去り、暮らしぶりが変わってモノが消えてしまおうとも、
確かに人が居てモノが在ったという事実。
過ぎ去った時間のなかにも、ひとの数だけ生活の風景があった。
それは、すべてのひとにとって唯一であり、かけがえのない価値なのだろうと思う。

民俗資料の整理・調査の作業をしていると、〝縁(えにし)〟というものを感じることが、しばしばある。
どうしても調べきれない疑問の答えが、ある時ふっと、意外な場所から見つかったり、
答えを知っているひとと偶然に出会ったりするのだ。
ちょっと不思議なことだけれど、そういう時、わたしたちは
「(モノに)呼ばれた」「(モノのほうから)来てくれた」などと喜び合い、
なにかに対して自然と感謝をする気持ちになってしまう。
なにか、とは、〝縁(えにし)〟なのかもしれない。
仕事中、たくさんの〝縁(えにし)〟に助けられ、応援していただいたことに感謝を。




民俗の仕事は、おもしろかった。
仕事の契約はこれで終わるけれど、おもしろかった。

おもしろかったことの、備忘録。



万歳!

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Commented at 2012-12-21 15:40
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by rollingwest at 2012-12-21 21:29
栃尾って、雁木とあぶらげだけじゃなかったんですね~。この街は深い・・。長岡市と呼びたくない。
Commented by green-field-souko at 2012-12-22 06:15
■2012-12-21 15:40の鍵コメさま
こちらも、なかなか、書けずにいて不完全燃焼。くすぶっていますw

きっと無事に乗り切れると思う。なんだか、そんな気がする。
初夏の雪、素敵だね。おだいじに^^
Commented by green-field-souko at 2012-12-22 06:24
■RWさま はい。栃尾は深いと思います。独特ですね。
雲蝶さんの作品も残っていますよ。養蚕から機織りのプロセスの彫刻です。
雁木のまち歩き、してみたいと思いつつ、間に合いませんでしたorz
Commented by シー坊 at 2013-01-12 11:08 x
HP観ましたよ♪
確かに人のぬくもり、活きた足跡がそこにあるって、
実感する展示物ですねえ。
手に取ってみることも出来るの?ほっほぉ・・・
長岡って新潟市内からだとかなり遠くないですか?
毎日通っていたのね。お疲れさまでした・・・
Commented by green-field-souko at 2013-01-12 12:57
■シーちゃんさま ありがとう^^
民俗資料は展示ケースの中なので見るだけなんだけど、それじゃあ
つまらないから、触ってもらえるよう真綿や繭を用意しましたよ。
沈香の匂いも楽しんでいただけます。今、仕込んであるのは伽羅よ。

そうねえ、うちから会場までは車で1時間ちょっとかなあ。
よかったら、(勝手に)わたしの解説付きで、ご案内しますよー。
by green-field-souko | 2013-01-13 23:59 | とるに足らないモノコト | Trackback | Comments(6)