ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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わたしなんかを待っていてもらえたなんて



あの日。
父が逝きかけているとき、わたしはデイルームで仕事をしていた。
ごく当然のいたしかたなさで、「こっちの業界」のオーダーをこなそうとしていた。
ほどなく息を引きとった父を連れ帰り、
日付が変わるころ、仕事の続きをやろうとしたものの、
どうしてもできなくて、
この仕事に就いてから初めて、役割を手放してしまったのだった。
わたしの代わりなどいくらでも居るから
と、くやしく、ため息をつきながら。




「あっちの世界」にも、かなり迷惑をかけてしまった。

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のに、

四十九日を過ぎたころ、
チケットが余っているからと
学芸員さんから、きっと、やさしい嘘の、誘い。
人間っていいなあと思わせられるライブでひさびさに笑った。

笑いながら、でも、仕事のほうはもう諦めていた。
だれかほかのひとへ移ったに違いない。
仕事なんてそんなものだけど、ライブはよかった。


それから、外が明るいうちから、タパスをつまみワインで話す。
ところで、と。
復帰はいつごろから大丈夫かを訊かれて驚いた。
ありえない。まさか。
2か月も、わたしなんかを、待っていてもらえたなんて。



「あっちの世界」のやさしさに、
「こっちの業界」が褪せてくる。
調子にのって、勧められた論文を書いてみようか
という気持ちに今は、なっている。






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by green-field-souko | 2018-06-02 23:17 | 日々の照り降り