ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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降るものの音

 サーサーと屋根を打つ、かたい音。パラパラと弾む音が混じっている。

 ああ、今朝はあられなんだな。雨ではなく、雪ではなく、あられ。なにが降っているかは、降る音でわかる。ふつうに雪が降るところで暮らすひとには、ふつうのことだと思うので、わざわざ書くことでもないけれど。

 まだ明けない夜の中で、耳を澄ませるのは、すこし楽しくもある。


 雪の季節を迎えると、「雪は天から送られた手紙である」で知られる雪氷学者・中谷宇吉郎博士を、わたしは想う。理科と図工と読書の好きな小学生だった、わたしのツボに、中谷先生ははまった。美しいものがたくさんありそうな科学の世界を、美しい文学的な表現で語れる人物は、そうはいない。この人しか居ない、と。

 毎日、眼をこらして、雪の結晶を見つめた。遥かなる上空を見上げ、冷え具合を想像した。雪合戦もおしくらまんじゅうも、痛くて野蛮できらいだった。子どもをきらいな子どもだった。


 いつのまにか、あられが降り止んだ。外が、しん、と静まっている。どこかで暖房の室外機が鳴って。金曜が動き出そうとしている。そろそろ、めざましコーヒーを淹れようかな。
by green-field-souko | 2007-12-21 05:13 | 旅と隠遁 | Comments(0)