ずっと生き難かった。ため息と深呼吸の備忘録。


by 草子
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遅れてきたおひなさま

 わたしは雛人形を持っていません。わたしが子どもの頃は、みんながふつーにビンボーな時代でしたし、親も若く、雛人形を買うだけの余裕などなかったのでしょう。買ってもらえるなどと夢にも思っていない贅沢品だけに、たいして欲しいと考えることもなく、3月3日をそれなりに過ごしてきました。

 手持ちのクマのぬいぐるみや自作の瓶人形を総動員して。それでも、ひなあられくらいは買ってもらったでしょうか。牛乳瓶でこしらえたお雛様は、春になると、顔にしたじゃが芋から芽が出てパーになりました。まあ、そんなもんでした。

 社会へ出て働くようになってから、会社の帰りに雛人形をさがしたことがありました。お内裏様とお雛様の2体くらいなら、ちょっとがんばれば持てるのではないかと思ったのです。浅草橋の専門店や日本橋の百貨店を何軒もまわりました。ところが、これが、なかなかどうして買えないのです。いざ決めようとすると、いまひとつ顔が気に食わなく思えてしまうのです。これくらいの顔のなら欲しいなあ、と思える雛人形は、非売品の参考展示だったり、博物館や史料館にありました。

 そんなわけで、欲しいものと買えるものが、どうにも折り合わず、とうとう雛人形を持たないまま、きてしまいました。というか、もう、自分には縁のない品物だと思っていました。

 先日、仕事でお会いした方から、雛人形をいただいてしまいました。年金でひとり暮らしをしておられ、時間だけはあるので趣味で人形をこしらえているのだそうです。あちこちに配っているので、あなたもおひとつどうぞ、持ってらして、と。
遅れてきたおひなさま_c0145183_5133447.jpg

 ひょんなことから、思いがけず、雛人形を持ってしまいました。小さく可愛らしい雛人形です。頭部がデフォルメされているので、顔のよいわるいもありません。これも縁というものなのかも。今年の桃の節句は終わってしまったから、来年はきれいに飾ってあげよう、なんて、いい齢をしてけっこう嬉しがっています。
by green-field-souko | 2008-03-08 05:40 | とるに足らないモノコト | Comments(0)